2015年12月アーカイブ

謝辞にかえて

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「ツグミ」としての誇り

「托卵(たくらん)」という言葉をご存知でしょうか?

 カッコウという鳥は、自らの卵を産む時、ツグミなど他種の鳥の巣に産み落とします。ツグミの巣の中で卵からかえったカッコウの雛は、ツグミの親鳥から供給されるエネルギーを独占するため、ツグミの雛や卵をことごとく巣の外に排除します。それでも、ツグミの親鳥は、一向に欺かれていることを知らず、ただ本能のうながすまま、巣の中の雛を――自らの子を酷く屠ったカッコウの雛を――かいがいしく育て、巣立たてます。

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 この「托卵」を逸話に引いて、「資本主義社会においては、カッコウのごとく賢く強くなるほかない! カッコウのごとく、現代を勝ち抜け!」と論じた御仁がいました。

 先日、その方とあるご縁に恵まれましたが、結果的にお断りを申し上げることになりました。

 カッコウの托卵を露悪的に経済活動の「弱肉強食」に擬えて論賛するなど、私が福生青年会議所に入会する際に重んじ、また入会後に涵養されてきた精神文化からは、あまりにもかけ離れた哲学にあるからです

Faith in God gives meaning and purpose to human life

 自らの「個」を超えた歴史や生命の連続性に人生の意義や目的を見出す。

 JCIクリードの冒頭の一節に照らせば、寧ろ、欺かれようと屠られようと命を慈しみ育むツグミのあり方こそJAYCEEとしての理想に近いではありませんか。

 

身を削る「真心」の文化

 先日、『海難1890』という映画を観ました。

 史実に基づいた感動的な物語でした。明治の黎明期、和歌山県串本沖で遭難したトルコの軍用船「エルトゥールル号」の乗組員を、貧しい現地の漁民が救います。

 救助にあたった漁民たちが暮らすのは、紀伊大島という小さな島の漁村です。一日漁に出なければ自分たちがその日食うものにもこと欠く暮らしのなか、老若男女全ての村民が心を一つにし、文字通り身を削るようにして、トルコ人船員の救助にあたります。

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 そこには「海の恵みによって活かされている民として、海で遭難した者は誰であれ必ず率先して救う」という精神文化・生活文化が生きていました。

The brotherhood of man transcends the sovereignty of nations

 この史実によって紡がれたトルコと日本の「国家の主権を超越」した絆は、時を超え、イラン・イラク戦争や東日本大震災に及んでもその篤い友情が実像を結びます。

 映画の中で、漁民たちの献身の動機やその背景にいきづく文化が、「真心」という言葉で言い表されていました。

 

「明るく豊かな社会」とは真心や志に満ちた社会

 

 日本の青年会議所は戦後間もない焼け野原の東京から立ちがりました。

 誰もが食うに事欠く焦土の上に「戦後日本の再健は我々青年の仕事である」という篤い使命感と決意によって立ち上がったのがJCであります。

 我々には、この先輩方の「志」を受け継ぐ覚悟と資格が宿されています。

 再び映画からの引用になりますが『デビッド・ゲイルの生涯』という映画の中で次のようなセリフに出会いました。

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Living by your wants will never make you happy.

(欲望に生きることは幸福でない)

What it means to be fully human is to strive to live by ideas and ideals.

(真に人間らしく生きるためには、信念と理想によって生きようと努めることだ)

Not to measure your life by what you've attained in terms of your desires, but those small moments of integrity and compassion, rationality, even self sacrifice.

(どれだけ欲望を満たしたかによって自身の人生を計ろうとしてはならない。人生は、その瞬間瞬間における誠意や思いやり、純粋な理性、あるいは自己犠牲によって決まる)

Because in the end, the only way that we can measure the significance of our own lives is by valuing the lives of others.

(自身の生がどれだけ尊いものか。それを計るのは、唯、他者の生にどれだけ価値をもたらしたかによる)

 

 そして最後に『アドラー心理学入門』(岸見一郎)より。

「全人類のために何かをするというのではなくて、あるいは全人類を何とかしようというのではなくて、今日ここでこうして接しているこの人との関係を少しでもより良いものに変えようと努めることが、ひいては全人類を変えることにつながる」

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 一年間、2015年度福生青年会議所を支えていただき本当にありがとうございました!

 

 2016年は、偉大なる太田理事長を後世に福生青年会議所「中興の祖」と呼ばしめるべく、心を一つにしましょう!

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理事長報告

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総会資料として提出した「2015年度福生青年会議所 理事長報告(案)」を転載いたします。

 

1.運動内容および成果の要旨:

 2015年度福生青年会議所は、「総務・運動発信委員会」「経営開発・拡大委員会」「地域開発委員会」の三委員会及び「執行部会議」の一会議からなる体制で運動した。

 各委員会よって設営された例会および事業の詳細報告は、各事業報告書及び副理事長報告、委員長報告にゆずるが、特に5月例会で一般参加者800名という未曾有の動員数を記録したことは記憶に鮮やかである。また、経営開発・拡大委員会によって設営された各例会は、常に「Leadership Development(リーダー力開発)」「Management Development(経営開発)」の義に沿ったものであり、その成果は本会の会員拡大のみにとどまらず広く地域の青年経済人の資質向上に資するものであった。地域開発委員会については所信に掲げた「地域社会と一体となった運動の展開」を具現化され、新たな事業として「福生市民討議会」が実現された。

 また、福生七夕まつりにおいては常設の三委員会とは別に特別実行委員会を設置し、青年会議所関係者による地域の子どもたちを対象とした職業体験事業を主催し、好評を博した。

 なお、事業・例会以外での成果については次のとおりである。

 総務・運動発信員会においては、総会設営をはじめ、広報誌の編集・発送、ホームページの更新、SNSを活用した情報の発信等、本会の組織運営の根幹に係る業務を細大漏らさずよく遂行された。特にICTの活用については運営幹事の活躍目覚ましく、耳目を集めた。

 経営開発・拡大委員会においては、委員長を中心として、各事業への予定者の動員、事業外での交流の企画等に精励され、本年度の会員拡大に大きく貢献された。また、運動歴の浅い若手会員に対するきめ細やかな働きかけを欠かさず、彼等のモチベーション向上、人財開発にも大きく貢献されたことは特筆すべき事である。

 地域開発委員会においては、地域社会との絆、協働関係の構築を目指した運動展開がなされた。福生市社会福祉協議会との災害時相互協力協定締結が実現したことはその最たる成果であり、委員長の尽力は多大なものであった。なお、福生市社会福祉協議会と福生青年会議所とは、多年に渡る協働関係を紡ぐ歴史が背景にあり、その点についてはこの場を借りて歴代理事長にも感謝の意を表し、協定締結の報告としたい。

 執行部会議については、年度当初の運営規程において定款に基づいて設置される「会議」であることを明文化し、マネージメント機関としての職務分掌を明確にした。所信に謳った「コンプライアンスの徹底」に照らし、福生青年会議所内の一機関として存在、機能について、一定の法的根拠をもたらしたものである。

 また本年度、「事業計画書」の様式を改めたことをここに記しておく。「目的」の前項として「背景」を記す欄を設け、「事業対象者」を「対内」「対外」それぞれ明確にするよう改め、あわせて「目的」についても「対内」「対外」に分けて洗い出すよう改めた。これは所信においても触れた「CD5サイクル」による継続性・発展性ある運動発信のために、不可欠な視点である。事業の企画は、根拠のない「思いつき」を形にするものではなく、「調査・研究」によって明らかにされた地域社会のニーズや課題の解決を目指すものでなければならない。その視点を失えば青年会議所運動ではなくなってしまうからである。今後、福生青年会議所が他LOMに伍して発展を続けるために今回の変更は、意義深い前進であったと言える。

 

2.反省および課題:

 未曾有の800名動員を誇った5月例会を始め、各例会、事業、様々な企画の中で、地域住民や各種団体を含む地域社会との接点が多くあった。一貫して協働関係を築き上げる行動を継続できていれば、より広く深い地域社会との絆が生まれていたことは想像に難くない。

 上記と大きく関連するが、会員拡大について、委員会の努力により6名と健闘したものの、年度当初の目標には達しなかった。

 また、執行部会議の機能を運営規程において明確に記したが、マネージメント機関として例年以上の有機的な働きを成し得たかは疑問である。執行部メンバー、特に専務理事の粉骨砕身の精進により、組織運営は難局にも耐え円滑を極めたが、個人の才覚が遺憾なく発揮されたによるところが大きく、組織的システムを活かしたガバナンスを発揮しうる体制の構築は課題である。

 以上、いずれも偏に理事長としての力不足である。

 市民討議会をはじめ次年度以後も継続性・発展性の望まれる事業が確立されたが、「継続事業」となることは、合目的的形骸化の途から自由ではあり得ず、継続して企画する上では、それを回避するため、いまいちどCD5サイクルに照らし、一層の目的志向、本質の深化を徹底することが必要である。

 

3.謝辞:

 末筆ではございますが、2015年度福生青年会議所を支えてくださったすべての方に純一なる心底より感謝申し上げます。

 何より現役メンバーを支えてくださったご家族の皆様には厚く厚く御礼申し上げます。

 福生市・羽村市・瑞穂町の地域住民の皆様、関係諸団体の皆様、平素より青年会議所運動に多大なるご理解ご協力を賜り誠にありがとうございます。

 2016年度以後も福生青年会議所に益々のご指導ご鞭撻をいただけますよう心よりお願い申し上げます。

プロフィール

第38代理事長  堂西利弥
1980.7.13生

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